モデル就業規則を用いて留意点を説明 ~第27条(育児時間及び生理休暇)

今回は、モデル就業規則第27条のモデル条文とその付属解説を紹介し、その他留意点について解説していきます。

☆モデル就業規則

(育児時間及び生理休暇)

第27条 1歳に満たない子を養育する女性労働者から請求があったときは、休憩時間のほか1日について2回、1回について30分の育児時間を与える。

2 生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。

付属解説【第27条 育児時間及び生理休暇】

1 育児時間については、生後満1年に達しない子を育てている女性労働者から請求があった場合は、授乳その他育児のための時間を、一般の休憩時間とは別に、1日2回各々少なくとも30分の時間を与えなければなりません(労基法第67条)。育児時間を請求し、又は取得したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。

2 生理日の就業が著しく困難な女性労働者が休暇を請求した場合、請求のあった期間は当該女性労働者を就業させてはなりません(労基法第68条)。なお、休暇は暦日単位のほか半日単位、時間単位でもあっても差し支えありません。

☆実際の運用における留意点

上記モデル条文や付属解説に記載されている事項以外にも押さえておく必要がある点についてご説明します。適正な労働環境の整備にお役立てください。

1 育児時間と保育園の往復時間の取扱い

 通達により、「往復時間を含めて30分の育児時間が与えられていれば違法ではない」とされていますが、往復の所要時間を除いた実質的な育児時間を確保することが望ましいとされています。

2 育児時間中の賃金支給

 育児時間を有給とするか無給とするかは、事業主の裁量に委ねられています。

3 労働時間に応じた育児時間の適用

 1日2回30分ずつの育児時間の規定は、1日の労働時間が8時間の場合に適用されます。労働時間が4時間以内の場合、1日1回30分の育児時間を与えることで足りるとされています。

4 育児時間の請求と権利発生

 育児時間は、対象者からの請求があった場合に初めて認められます。請求があれば権利が発生し、事業主は必ず育児時間を与える義務があります。

5 育児時間の利用タイミング

 育児時間は就業時間内であれば、どの時間帯においても請求が可能です。休憩時間が就業時間の途中に付与されるのが原則であるのに対し、育児時間は就業時間の最初や最後でも適用可能です。

6 生理休暇の対象要件

 生理休暇は、生理により就業が「著しく困難」となった場合に利用可能です。生理であること自体を理由に自動的に認められるものではありません。また、医師の診断書提出を求めることは制度趣旨に反し、不適切です。

7 生理休暇の取得単位

 生理休暇は、暦日単位だけでなく、半日または時間単位での請求も可能です。また、就業規則で生理休暇の日数上限を設定することはできません。

8 育児時間中の賃金支給

 生理休暇を有給とするか無給とするかは、事業主の裁量に委ねられています。

まとめ

育児時間や生理休暇は、労働基準法や通達に基づき適切に運用する必要があります。特に、請求が権利発生の条件である点や、賃金支給の扱いなど、現場での柔軟かつ正確な対応が求められます。

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