モデル就業規則を用いて留意点を説明 ~第22条(勤務間インターバル制度)

今回は、モデル就業規則第22条のモデル条文とその付属解説を紹介し、その他留意点について解説していきます。

☆モデル就業規則

(勤務間インターバル制度)

第22条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。ただし、災害その他避けることができない場合は、この限りではない。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時刻は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

付属解説【第21条 時間外及び休日労働等】

1 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)が改正され、2019年(平成31年)4月1日から、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となりました。

2 勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。

3 一定のインターバル時間を確保することで、従業員が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができます。

4 インターバル時間の満了時刻が、次の勤務の所定労働時間以降に及ぶ場合の取扱いについては、以下の方法が考えられ、就業規則の規程例は以下のとおりです。

5 このほか、必要に応じ、勤務間インターバル制度に関する申請手続や労働時間の取扱い等についても就業規則等の規定の整備を行う必要があります。

[例1] インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を働いたものとみなす場合

(勤務間インターバル)

第22条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。ただし、災害その他避けることができない場合は、この限りではない。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす

[例2] インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複した時、勤務開始時刻を繰り下げる場合

(勤務間インターバル)

第22条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。ただし、災害その他避けることができない場合は、この限りではない。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時刻は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

☆実際の運用における留意点

勤務間インターバル制度を導入することで、社員の健康維持・向上に寄与するほか、ワーク・ライフ・バランスを促進し、人材の定着や確保にもつながります。

ただし、制度を現場に適切に定着させるためには、以下の点に十分注意を払う必要があります。

1 適用対象の設定

勤務間インターバル制度は、すべての従業員を対象とすることが基本です。

ただし、勤務形態や業務内容による例外を設ける場合、その理由を明確にし、従業員に十分な説明を行いましょう。この過程で従業員の理解を得ることが重要です。

2 インターバル時間の設定

インターバル時間が短すぎると疲労回復が不十分となり、長すぎると制度の運用が困難になります。

厚生労働省は少なくとも9時間以上を推奨していますが、通勤時間が含まれることを考慮し、現場の実情に合った時間数を設定する必要があります。

3 インターバル時間と翌日の勤務開始時刻の調整

インターバル時間を確保するため、翌日の勤務開始時刻を以下のいずれかの方法で調整することが求められます。

方法1重複する時間を「労働したもの」とみなす。

方法2:翌日の勤務開始時刻を繰り下げる。

事前にどちらを適用するかを明確にし、就業規則等に反映させる必要があります。

4 適用除外の条件の設定

緊急対応や災害など、やむを得ない事情が発生した場合には、インターバル時間を確保できないケースが考えられます。

この場合、具体的な適用除外条件を就業規則に明記し、現場における柔軟な対応が可能となるようにしましょう。

5 申請手続の設定

インターバル時間を確保するための勤務調整や、適用除外が発生した際の報告手続を明確化することが望まれます。たとえば以下のような手続を検討してください。

・インターバル時間の確保により勤務開始時刻を繰り下げる場合、事前に上司や関係者に社内メールで連絡する。

・適用除外となる場合は、事前または翌日までに上司に申請書を提出する。

6 インターバル時間が確保できなかった場合の対応

インターバル時間を確保できなかった場合は、上司との面談を設定して業務配分を見直すなどのフォローアップを行うことが重要です。

これにより、制度の実効性を高め、従業員の健康維持に努めることができます。

7 労働時間管理方法の見直し

従業員の労働時間を正確に把握し、インターバル時間が確保されているかをチェックする仕組みを構築しましょう。

長時間労働が続く従業員については、警告メールの送付や適切な是正措置を講じることが考えられます。

まとめ

勤務間インターバル制度は、従業員の健康維持やワーク・ライフ・バランスの確保を目的とし、勤務終了後から次の勤務開始まで一定時間の休息を確保する制度です。

導入にあたっては、適用対象やインターバル時間の設定、緊急時の対応などを十分に検討し、現場に適した運用ルールを整備することが重要です。

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