
今回は、モデル就業規則の第18条のモデル条文とその留意点について解説していきます。
☆モデル就業規則
(遅刻、早退、欠勤等)
第18条 労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に○○○に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。
2 前項の場合は、第45条に定めるところにより、原則として不就労分に対応する賃金は控除する。
3 傷病のため継続して 日以上欠勤するときは、医師の診断書を提出しなければならない。
付属解説【第18条 遅刻、早退、欠勤等】
1 本規程例では労働者が遅刻、早退若しくは欠勤等をする場合、事前の申出と会社の承認を得ることとしていますが、どのような手続を規定するかは各事業場で決めることです。しかし、こうした手続を取ることは会社の秩序を維持する上でも重要なこととなりますので、明確に定めてください。
2 欠勤何日以上で医師の診断書を提出させるかは、各事業場で決めることです。
☆実際の運用における留意点
就業規則第18条を実際に運用する際に、以下の点に注意する必要があります。
1 届け出の徹底
従業員は企業と雇用契約を結び、労働を提供する義務があります。そのため、欠勤や遅刻、早退は労務を提供していない状態、つまり契約上の義務を果たしていないことを意味します。
しかし、従業員が長期間にわたり働いていると、やむを得ない事情で遅刻や欠勤をしなければならない場合があるのも事実です。
このような場合には、従業員がその恐れがあると分かった時点で、事前に、できるだけ早く上司に届け出るよう規定しておくべきです。
2 承認プロセスの明確化
届け出た内容が自動的に認められるわけではなく、上司の承認が必要であることを明確に規定しておきましょう。
なお、当たり前のことですが、上司は合理的な理由なしに承認を拒むことはできませんので、その点、注意が必要です。
3 届け出の方法
届け出の際の具体的な手続きや書式についても、あらかじめルールを定めておくとスムーズです。例えば、突発的な欠勤の場合、電話やメールでまずは報告し、その後に所定の手続きを踏むというプロセスを設定しておくと良いでしょう。
届け出をしなかった場合も、上司の承認が得られなかった場合も、懲戒の対象となることを明文化しておきましょう。
4 賃金控除に関する規定
欠勤、早退、遅刻の時間は労務の提供がないわけですので、上司の承認があったとしても、その時間分の給与は支払う必要がありません。支払わない場合はその旨就業規則に盛り込んでおくことが推奨されます。
5 医師の診断書提出に関する規定
病気やケガで欠勤が続くような場合、企業は従業員に対して医師の診断書を提出させる規定を設けておきましょう。診断書の作成料は従業員負担とする場合、その点も事前に就業規則に明記しておくとトラブルを回避できます。
まとめ
欠勤、早退、遅刻等の場合の手続きは、企業の秩序を保つためにも重要な条文です。就業規則を整備し、実際に運用する際は、事前に従業員に周知をしておくことが大切です。
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