
今回は、R6年度の介護報酬改定について、特に在宅医療と介護の連携に関する重要な改定内容を詳しく解説します。
第1弾に続く第2弾について、在宅医療と介護の連携を推進するための施策を7から11の項目に分けて説明します。
7 看護師による「退院当日訪問」の推進【訪問看護】
まずは、訪問看護における改定ポイントです。
退院したばかりの要介護者に対して、看護師が退院当日に訪問することで、円滑な在宅移行を支援する仕組みが導入されました。
初回加算(Ⅰ):退院当日に訪問看護を実施すると350単位/月が新たに加算されます。
初回加算(Ⅱ):退院翌日以降の訪問では、従来通り300単位/月が加算されます。
算定要件:
初回加算(Ⅰ):病院や介護施設から退院・退所した当日に訪問看護を行った場合に適用されます。
初回加算(Ⅱ):退院翌日以降に訪問看護を行った場合に適用。
これにより、退院直後の利用者の健康状態の把握と、その後の在宅生活への不安軽減が期待できます。
8 リハビリテーション計画書の受け取り義務化【訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション】
次に訪問リハビリテーションおよび通所リハビリテーションにおける大きな変更です。
退院時の情報連携を強化し、質の高いリハビリを提供するため、入院中に医療機関で作成されたリハビリテーション計画書の受け取りが義務化されました。
これにより、入院中のリハビリと在宅移行後のリハビリがしっかりと連携できるようになります。
9 退院時情報連携によるリハビリ実施の促進【訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション】
退院直後に途切れることなくリハビリを提供するため、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションにおいて「退院時共同指導加算」が新設されました。
退院時共同指導加算:600単位/回(新設)
算定要件:
退院前カンファレンスに、訪問リハビリの理学療法士や作業療法士が参加し、共同で指導を行った場合、初回のリハビリ訪問時に600単位/回の加算が適用されます。
これにより、入院から在宅へのリハビリが切れ目なく提供され、より質の高いリハビリが可能になります。
10 入院時情報連携加算の見直し【居宅介護支援】
居宅介護支援における「入院時情報連携加算」が見直され、迅速な情報共有が評価されるようになりました。これにより、入院時のケアプランの調整がよりスムーズに行えるようになります。
入院時情報連携加算(Ⅰ):250単位/月(改定後)
入院当日中、または3日以内に情報を提供した場合。
入院時情報連携加算(Ⅱ):200単位/月(改定後)
入院翌日または翌々日に情報を提供した場合。
また、入院が休日や営業時間外に行われた場合にも柔軟に対応できるような要件が追加されております。
11 通院時情報連携加算の見直し【居宅介護支援】
通院時においても、医師や歯科医師との連携を強化するための改定が行われました。これまでの医師の診察に加え、歯科医師の診察時に介護支援専門員が同席した場合も、同様に加算が適用されます。これにより、口腔ケアを含む利用者の健康状態をより的確に把握し、適切なケアマネジメントを行うことができます。
これらの改定により、在宅医療やリハビリの質が向上し、利用者にとってより安心できる環境が整備されていきます。
Q&Aについての解説
改定内容に関連する具体的な質問が厚労省から公表されています。以下のご紹介します。
<VOL.1>
○ 退院時共同指導加算
問 48 退院時共同指導の内容を文書以外の方法で提供する場合、指導の内容を電話に伝達してもよいのか。
(答)
元来、退院時共同指導の内容を文書により提供していたことを鑑みれば、電話による伝達ではなく、履歴が残る電子メール等の電磁的方法により指導内容を提供することが想定される。
問 49 退院時共同指導の内容を文書以外の方法で提供する場合、利用者やその家族の同意は必要か。
(答)
必要。利用者やその家族によっては、退院共同指導の内容の提供を受ける手段として電磁的方法ではなく文書による提供を希望する場合も考えられるため、希望に基づき対応すること。
問 50 退院時共同指導の内容を電子メールで送信できたことが確認できれば退院時共同指導加算の算定は可能か。
(答)
不可。電子メールで送信した後に利用者またはその家族が受け取ったことを確認するとともに、確認したことについて訪問看護記録書に記録しておく必要がある。
○ 入院時情報連携加算
問 118 入院日以前の情報提供については、入院何日前から認められるか。
(答)
特段の定めは設けていないが、情報提供日から実際の入院日までの間隔があまりにも空きすぎている場合には、入院の原因等も踏まえた上で適切に判断すること。
問119は略
まとめ
今回の介護報酬改定では、在宅医療と介護の連携がさらに強化される形となっています。特に、退院直後のケアやリハビリの質の向上が図られており、利用者とその家族にとっても安心できる内容となっています。
今後も、これらの改定がどのように現場で実施されるか注視していくことが大切です。
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