
今回は、業務改善助成金についてご紹介します。
業務改善助成金とは?
この助成金は、賃金の引き上げに加えて、生産性を高めるための設備投資を行った場合、その費用の一部を支援するものです。最大で600万円もの助成を受けることができる可能性があります。
以下に、詳しくご説明します。
業務改善助成金を受け取るまでの流れ
業務改善助成金を申請する際は、以下のステップを踏んでいきます。
(1)賃金引き上げ計画と設備投資計画を立てる
例: 機械設備の導入、コンサルティング、人材育成や教育訓練の計画など
(2)助成金の申請
計画が整ったら、申請を行います。
(3)交付決定
労働局の審査を経て、計画に基づく助成金の交付が決まります。
(4)事業の実施
決定に沿って、計画通りに賃金を引き上げ、生産性向上を目的とした投資を進めます。
(5)事業結果の報告
事業が完了したら、その結果を労働局に報告。
(6)助成金の支給
計画通りに事業が実施され、審査が通ると、設備投資などにかかった費用の一部が助成金として支給されます。
対象となる事業者と申請の要件
この助成金の対象となるのは、以下の条件を満たした中小企業や小規模事業者です。
(要件)
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金との差額が50円以内であること
・解雇や賃金引き下げなど、助成金が不交付となる条件がないこと
・申請は工場や事務所といった事業場ごとに行います。もし複数の拠点がある場合は、それぞれの事業場で別々に申請する必要があるのでご注意ください。
対象となる設備投資とは?
助成の対象となるのは、生産性向上に貢献する設備投資や施策です。例えば、国家資格者による業務フローの見直しや、顧客管理情報のシステム化などが含まれます。
また、特定の事業者に対しては、助成対象となる経費が拡大される場合もあります。
助成金額の計算方法
助成金の額は、設備投資にかかった費用に助成率を掛けた金額と、助成上限額のいずれか低い方が支給されます。
例えば、事業場内最低賃金が900円未満の場合、助成率は90%になります。
(計算例)
労働者8人の賃金を90円引き上げた場合の助成上限額は、450万円です。
設備投資にかかった費用が600万円の場合、600万円×助成率90%=540万円ですが、助成上限額450万円が適用され、最終的に450万円が支給されます。
労働者数のカウント方法
「引き上げる労働者」とは、事業場内最低賃金で働いている労働者のことです。
また、賃金引き上げによって他の労働者の賃金が追い抜かれる場合、その労働者も「引き上げる労働者」としてカウントされます。
賃金引き上げにおける注意点
・地域別最低賃金が改定される場合、その発効日までに事業場内最低賃金も引き上げる必要があります。
・引き上げ後の賃金額は、就業規則に記載しなければなりません。
・令和6年度からは、複数回に分けて賃金を引き上げることはできなくなりました。
申請手続きの流れ
申請は、事業場所在地を管轄する都道府県労働局に行います。労働局の審査を通過したら、計画に基づいて事業を進めましょう。事業が完了したら、実績報告を行い、最終的に助成金が支給されます。
注意事項
・過去に業務改善助成金を受け取った事業者も、再度申請が可能です。
・助成金は予算の範囲内で支給されるため、申請期間中でも募集が終了することがあります。
・助成対象となる設備を交付決定前に導入した場合、助成金は支給されないので、十分にご注意ください。
令和5年度からの変更点
・事業完了期限は令和7年(2025年)1月31日までです。
・同一事業場での申請は、年1回までに制限されております。
業務改善助成金は、中小企業の成長を強力にサポートしてくれる制度です。賃金引き上げとともに、生産性を向上させ、事業のさらなる発展を目指しましょう。
↓