
今回は、モデル就業規則第20条のモデル条文とその付属解説を紹介し、その他留意点について解説していきます。
☆モデル就業規則第20条
完全週休2日制の規定例がベースです。
(休日)
第20条 休日は、次のとおりとする。
① 土曜日及び日曜日
② 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
③ 年末年始(12月 日~1月 日)
④ 夏季休日( 月 日~ 月 日)
⑤ その他会社が指定する日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。
付属解説【第20条 休日】
1 労基法では何曜日を休日とするかあるいは国民の祝日を休日とするかについて規定していません。1週間の中で何曜日を休日としても、また、週によって異なる曜日を休日としても差し支えありません。さらに、勤務の実態に合わせて、労働者ごとに異なる日に交替で休日を与えることもできます。
2 休日は、原則として暦日(午前0時から午後12時までの継続24時間をいう。)で与えなければなりません。しかし、番方編成による交替制(8時間3交替勤務のような場合をいう。)を導入するような場合、以下の要件を満たせば休日は暦日ではなく、継続した24時間を与えれば差し支えないとされています(昭和63年3月14日付け基発150号)。
(イ)番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること。
(ロ)各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと。
3 本条第2項において定めている、いわゆる「振替休日」とは、例えば業務の都合によって所定休日である日曜日に勤務させなければならない場合に、当該日曜日を勤務日に変更し、その代わり勤務日である例えば月曜日を休日とするように、所定の休日とあらかじめ他の勤務日と振り替えることをいいます。
また、「代休」とは、休日に休日労働を行わせた場合に、その代わりに以後の特定の勤務日又は労働者の希望する任意の勤務日の労働義務を免除し、休みを与える制度のことをいいます。振替休日と代休の労基法上での取扱いの違いは次のとおりです。
「労働基準法上の振替休日と代休の取扱いの違い」
① 振替休日は、あらかじめ定められた法定休日を他の日に振り替えることですから、振替前の休日に勤務しても通常の勤務と同じです。したがって、休日労働に対する割増賃金の問題は発生しませんが、振り替えた休日が週をまたがった場合、振替勤務したことにより、当該週の実労働時間が週の法定労働時間を超える場合があります。その場合は時間外労働に対する割増賃金の支払が必要となります。 その一方で、代休は、定められた法定休日に休日労働を行わせた場合ですから、その後に代休を与えても休日労働をさせたことが帳消しにされるものではありませんので、休日労働に対する割増賃金を支払う必要があります。
② 休日は労働者の労働義務のない日ですから、これを振り替える場合は、以下に示す措置が必要となります。
ア 就業規則に振替休日の規程を置くこと。
イ 振替休日は特定すること。
ウ 振替休日は4週4日の休日が確保される範囲のできるだけ近接した日とすること。
エ 振替は前日までに通知すること。
☆実際の運用における留意点
上記モデル条文や付属解説に記載されている事項以外にも押さえておく必要がある点についてご説明します。適正な労働環境の整備にお役立てください。
1 休日の記載は必須
労働基準法では、就業規則に休日を記載することが義務付けられている「絶対的記載事項」のひとつです。休日の設定は、労働環境を整備するうえで基本となりますので、必ず記載しましょう。
2 法定休日と法定外休日(所定休日)
休日には2種類あります。
法定休日:労働基準法が定める最低基準で、週に1回の休日を指します。
法定外休日(所定休日):企業が独自に定める休日で、法定休日とは別に設定されます。
これらの違いを理解し、それぞれの取り扱いを明確にすることが重要です。
3 休日の特定は必須ではないが、推奨される
労働基準法では、休日を特定することは必須ではありませんが、具体的に休日を定めることが望ましい旨の通達が出ています。
具体的な休日を明記することで、従業員にとってもわかりやすく、労働環境の透明性が向上します。
4 法定休日と法定外休日の違いを理解する
法定休日に労働させた場合、休日の割増賃金(通常賃金の135%)を支払う必要があります。
法定外休日(所定休日)に労働させた場合、割増賃金の支払いは不要です。
そのため、ある休日に労働させた際、その日が法定休日か法定外休日かを正確に確認することが必要です。どの休日が法定休日なのかを就業規則で明確に定めておくことが望ましいです。
5 代休の付与は企業の裁量
休日に労働させた際、代休を与えるかどうかは企業の任意です(通達)。
労働基準法上、代休の付与は義務ではありません。
ただし、代休を与える場合は、その旨を就業規則に定めておく必要があります。就業規則で定めた場合、代休の付与は義務となります。
6 代休取得日に関する給与の取り扱い
代休を取得した日は労働をしていないため、その日の賃金を支払わないとすることも可能です。
ただし、その場合、代休取得日は無給であることを事前に就業規則に記載しておかなければ、使用者は賃金の支払い義務を負うことになります。無給にする記載がないと、使用者が就業義務を一方的に免除することになるからです。
給与に関する取り決めは、従業員との信頼関係を築くうえで大切な要素ですので、事前の周知と就業規則の整備を徹底しましょう。
まとめ
休日の取り扱いは、労働環境を整えるうえで非常に重要です。労働基準法の規定に基づいて、適切に就業規則を整備し、従業員にとって働きやすい環境を提供することが、企業にとっても大切なステップです。
↓