
雇用保険法の改正により、「出生後休業支援給付」および「育児時短就業給付」が創設され、育児と仕事の両立を支援する取り組みが強化されます。
本記事では、新制度の概要や背景、具体的な内容についてわかりやすく解説します。
育児休業の現状と課題
育児休業の取得率をみると、女性は8割台と高い水準で推移している一方、男性の取得率は上昇傾向にあるものの、令和5年度では30.1%とまだ低い状況です。
また、育児休業の取得期間では、女性の9割以上が6か月以上休業している一方で、男性は約4割が2週間未満であり、短期間に留まる傾向があります。
これらのデータから、男性の育児参加を促進する必要性が浮き彫りになっています。
現行の育児休業給付制度
概要
育児休業給付は、労働者が子ども(原則1歳未満)を養育するために育児休業を取得した場合に、職業生活の継続を支援する制度です。
支給要件
・雇用保険の被保険者であること
・休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算12か月以上あること
給付額
・育児休業開始から180日までは休業開始前賃金の67%
・180日を超えた以降は50%
課題
賃金補償が休業開始から180日経過後に50%まで減少することや、これまでの給付では男性の育児休業取得促進が十分進んでいない点が指摘されていました。
新たに創設される「出生後休業支援給付」
制度の概要
出生後休業支援給付は、以下の条件を満たす場合に給付されます。
対象者
男性:子どもの出生後8週間以内
女性:産後休業後8週間以内
給付内容
最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を支給
条件
被保険者とその配偶者がともに14日以上の育児休業を取得すること
仕組み
育児休業給付の67%に加え、出生後休業支援給付の13%が上乗せされるため、合計で80%の賃金補償となります。
これは保険料控除がないため、手取りで休業前の賃金全額相当が得られる仕組みです。
「育児時短就業給付」の新設
制度の背景
育児短時間勤務制度はこれまで存在していましたが、時短勤務を選択したことで賃金が低下した労働者への直接的な支援制度はありませんでした。
そのため、育児とキャリア形成の両立を支援するため、時短勤務制度を選択しやすくするための仕組みが求められておりました。
給付の概要
2歳未満の子どもを養育するために時短勤務をする被保険者に対して、時短勤務中に支払われた賃金の10%を給付します。
これは、時短後の賃金と給付額の合計が時短前の賃金を超えないよう調整されます。
まとめ
今回新たに創設された「出生後休業支援給付」および「育児時短就業給付」によって、育児休業中の賃金補償が拡充され、育児休業の取得や短時間勤務を選択しやすい環境が整います。
この制度の導入により、働きながらも安心して子育てができる社会の実現が期待されます。
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