
今回は、モデル就業規則の第9条の内容とその留意点について解説していきます。
まず、モデル就業規則の第9条とその付属解説をご紹介します。
☆モデル就業規則「第9条 休職」と「付属解説」
(休職)
第9条 労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。
① 業務外の傷病による欠勤が○か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき
○年以内
② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき
必要な期間
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。
【第9条 休職】
1 休職とは、業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます。なお、本条第1項第2号の「特別な事情」には、公職への就任や刑事事件で起訴された場合等が当たります。
2 休職期間中に休職事由がなくなった場合は、当然に休職が解除され復職となります。
3 休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません。
その他留意点
休職に関する就業規則を作成するに当たって、上記「モデル条文や付属解説」以外で注意すべき点をご紹介します。
休職の基本的な考え方
・休職とは、労働契約関係が存続しているにもかかわらず、雇用契約に基づく労務の提供がされないということですので、労働者側の債務不履行となり、事業主は原則として契約を解除(=解雇)することができます。
休職制度の必要性
・休職制度については、労基法上規定がありませんので、休職制度を設けるか否かは事業主の裁量となりますが、多くの会社では休職制度を取り入れており、雇用関係の継続を図っております。
・これは、一時的に労務が提供できないことを持って解雇した場合、長く働いてきた有為な人材を失いかねず、また、休職という制度を設けることで、その後、仮に退職に至ったとしても、一定の期間配慮していたことから、従業員とトラブルになりにくいという効果も見込んでいるものと思われます。
休職制度の設定と就業規則
・休職を設定する場合は、労働契約に影響することになるため、就業規則に規定されることになります。
・事業主は就業規則において、対象者や休職期間について自由に設定することができます。
休職制度の例
・休職の例としては、上記モデル条文に書かれてある私傷病休職のほか、<出向休職>、<公職休職>、<起訴休職>、<その他会社が認めるとき>などがあります。
・私傷病休職の場合、モデル条文のように、連続欠勤した期間が○カ月といった要件を設ける例が多いのですが、その場合、断続的な欠勤が長期にわたった場合に対応できません。断続して長期に欠勤した場合にも休職対応できるようにしておいた方が対処の幅が広くなります。
・また、業務に支障が生じるなど会社が判断した場合にも休職を命ずることができるようにしておくべきかと思います。
休職の明確化と現況報告
・上記モデル条文では明らかではありませんが、事業主が休職を命じて初めて休職に入ることを規定上明確にしておくべきです。
・休職期間中の現況報告を求めるようにします。私傷病休職であれば、定期的に医師の診断書の提出を求めることが多いですが、短い期間に頻回、提出させることはないようにした方が良いでしょう。
最後に
休職制度は労働者と事業主双方にとって重要な制度であり、トラブルを避け、信頼関係を維持するためにも、適切な運用が必要です。モデル条文では休職期間の取り扱いについて詳しい記載がありませんが、多くの企業では休職期間について就業規則に細かく記載しておりますので、次回は休職期間についてご紹介します。
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