
今回は「キャリアアップ助成金」の中の賃金規定等共通化コースご紹介します。
今回は「キャリアアップ助成金」のご紹介も3回目です。
今回は、**「賃金規定等共通化コース」**について解説します。非正規雇用の方々のキャリアアップをサポートし、処遇改善に貢献するこの助成金は、企業にとっても非常にメリットのある制度です。以下、「賃金規定等共通化コース」がどのようなものか、見ていきます。
キャリアアップ助成金の「賃金規定等共通化コース」とは?
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者(有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など)のキャリアアップを促進するため、企業が正社員化や待遇改善に取り組んだ際に支給される助成金です。
その中でも**「賃金規定等共通化コース」**は、有期雇用労働者の基本給を正社員と共通化することで支給されます。具体的には、就業規則や労働協約に基づき、すべての有期雇用労働者に対して正規雇用労働者と同様の賃金規定を新たに作成・適用した場合に助成金が支給されます。
キャリアアップ計画書の作成
こちらのコースでも、事前に「キャリアアップ計画」を労働局に提出することが必要です。キャリアアップ計画書は、企業が今後どのように非正規雇用者の処遇改善に取り組むかを示すものです。計画書は、実施日の前日までに提出し、計画期間は3年以上5年以内に設定することが求められます。また、**「キャリアアップ管理者」**の選任が必要で、すべての労働者の代表から意見を聴取することも忘れてはなりません。
計画書の作成は少々手間がかかりますが、これが将来の企業の成長に寄与する大切なステップです。
支給額(中小企業の場合)
60万円
※1事業所あたり1回のみの支給です。
対象となる労働者
・賃金規定を共通化した日の前日から遡って3ヶ月以上前から、共通化後6ヶ月以上継続して雇用されている有期雇用労働者
・正規雇用労働者の区分以上に格付けされている者
・共通化後6ヶ月間、雇用保険に加入していること
・事業主や取締役の親族(3親等以内)ではないこと
・支給申請日に離職していないこと
対象となる事業主
・賃金規定を新たに設けている事業主
まず、就業規則や労働協約に基づき、有期雇用労働者(パートや派遣社員など)に対して、正規雇用労働者と同じ職務内容に見合った賃金規定を新しく設定し、その区分に応じた基本給などの待遇をきちんと決めている企業が対象です。
・正規雇用の賃金規定と同時期またはそれ以前に導入している事業主
正社員の賃金規定を既に作成している、または有期雇用者向けに新しい賃金規定を導入するタイミングで、正社員の賃金規定を同時に適用している企業も対象です。
・賃金区分を3つ以上設けている事業主
正社員と有期雇用者それぞれに対して、少なくとも3つ以上の賃金区分を設け、各区分に1人以上が属していることが必要です。さらに、有期雇用者が格付けされている区分が、正社員と同等またはそれ以上の区分である必要があります。
・賃金額が正社員と同等以上である事業主
同じ区分に属する有期雇用者と正社員の賃金(基本給など)が、時間あたりで同じか、それ以上であることが条件となります。
・賃金規定に合理的な条件を明示している事業主
賃金規定が適用される条件について、合理的な内容を就業規則や労働協約に明確に記載している企業が対象です。これにより、誰がどの区分に属するかが公平に決まるようになります。
・すべての労働者に共通の賃金規定を適用している事業主
この助成金は、すべての有期雇用者と正社員に同じ賃金規定が適用されている企業が対象です。特定の労働者だけではなく、全員に共通化を行っていることが重要です。
・賃金規定を6ヶ月以上運用している事業主
新しい賃金規定を適用してから少なくとも6ヶ月間、継続してその規定を運用していることも条件の一つです。
・賃金や諸手当を減額していない事業主
賃金規定を適用した後、基本給や固定で支給される手当が、以前と比べて減額されていないことが求められます。適用前の水準を維持することが重要です。
・申請時に規定を継続して運用している事業主
最後に、支給申請を行う時点でも、引き続きこの賃金規定を運用していることが条件です。途中で規定を変更したり、運用をやめたりしてはいけません。
賃金テーブル共通化のイメージ
賃金テーブルの共通化は、以下のような流れで実施されます。
例: 正規雇用者と有期雇用者が等級ごとに対応
正規雇用者4等級:月給■■万円 → 有期雇用者の時給○○円
正規雇用者3等級:月給▲▲万円 → 有期雇用者の時給□△円
これに加え、賃金テーブルが適用されるためには、合理的な条件が必要です。たとえば、「熟練業務をこなせる」ため3等級に分類されたり、「指導ができる」ため4等級に分類されるといった基準です。
支給申請に必要な書類
支給申請の際には、いくつかの書類が必要になります。事前の準備が重要です。
・キャリアアップ助成金支給申請書
・賃金規定等共通化コース内訳
・支給要件確認申立書
・支払方法・受取人住所届
また、以下の添付書類も忘れずに準備してください。
・管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画の写し
・共通化前後の就業規則や労働協約の写し
・共通化した区分に格付けされた労働者の賃金台帳、雇用契約書など
まとめ
企業が有期雇用者の待遇を改善し、正社員と同等の賃金を適用することが「賃金規定等共通化コース」助成金の鍵となりますので、ぜひ参考にしてください。
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