<特定求職者雇用開発助成金> ~特定就職困難者コースとは?~

「特定求職者雇用開発助成金」とは、高年齢者や障害者など、就職が特に困難な方々を、ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介によって、継続して雇用する事業主に対して支給される助成金です。この助成金は、こうした方々の雇用機会を増やし、雇用の安定を図ることを目的としています。

特定就職困難者コースとは

その中でも、「特定就職困難者コース」は、特に就職が難しい高年齢者(60歳以上)や障害者の方々を、ハローワークや民間の職業紹介事業者の紹介によって雇い入れる事業主を支援するコースです。この助成金を通じて、彼らに安定した雇用機会を提供し、社会復帰や自立支援を後押しすることを目指しています。

この助成金の仕組みをうまく活用することで、企業にとっても、社会にとっても、そしてもちろん、求職者にとっても大きなメリットがあります。高齢者や障害者など、就労に困難を抱える方々を積極的に雇用することは、企業の社会的責任(CSR)を果たすうえでも非常に重要な取り組みです。

企業が助成金を受けるためには、一定の条件や手続きが必要となりますが、支援が受けられることで、長期的な雇用につながりやすくなります。特定就職困難者の雇用を検討している企業の皆様は、この助成金制度を積極的に活用して、社会的課題の解決に貢献してみてはいかがでしょうか?

特定就職困難者コースの対象となる労働者とは?

「特定求職者雇用開発助成金」の特定就職困難者コースにおける「対象労働者」は、次の2つのパターンに該当する求職者が対象です。

1. 重度障害者等以外の求職者

このグループには、以下の条件に該当する人たちが含まれます。ただし、①の60歳以上の方を除いては、雇入れ日に65歳未満であることが基本の条件です。

① 60歳以上の人

② 身体障害者

③ 知的障害者

④ 母子家庭の母

⑤ 父子家庭の父(児童扶養手当を受給している場合に限る)

(略)

⑮ ウクライナ避難民

2. 重度障害者等の求職者

次の5つの条件に該当する人たちが対象です。ここで注意したいのは、短時間労働者以外として雇う場合には、雇用保険被保険者(在職者)であっても対象となる点です。

① 重度身体障害者

② 身体障害者のうち45歳以上の人

③ 重度知的障害者

④ 知的障害者のうち45歳以上の人

⑤ 精神障害者

雇用条件について

対象労働者を雇うためには、次の条件を満たす必要があります。

1. ハローワーク等の紹介を受けること

ハローワークや地方運輸局、有料・無料の職業紹介事業者等の紹介を受けた人を雇い入れることが条件です。

2. 継続雇用が確実であること

雇用保険の一般被保険者として、対象労働者を継続して雇用することが条件です。また、65歳以上まで雇用することや、雇用期間が2年以上であることも必要です。

注意点

以下のいずれかに該当する場合、この助成金の支給対象にはなりません。

・事前に雇用選考が始まっていた場合

・過去3年以内に、雇用や契約、派遣などの関係があった場合

・雇入れ事業主の事業所で、過去3年間に職場適応訓練を受けていた場合

・雇入れ事業主が、3親等以内の親族である場合

・労働条件に違反があり、求職者からの申し出があった場合

・賃金が支払われていない場合

対象外となる事業主

次に示す要件に該当する事業主は、この助成金の支給対象にはなりません。(※詳細はパンフレット参照)

・事業主都合による解雇歴

・対象労働者の雇入れ日からさかのぼって6か月前から1年間の間に、事業主が雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者は除く)を事業主都合で解雇していた場合。

・過去の助成金対象者を事業主都合で解雇

・対象労働者の雇入れ日より前に、特定求職者雇用開発助成金の支給決定がなされていた者を、過去3年間に事業主都合で解雇または雇止めを行っていた場合。

・対象労働者の雇入れに係る事業所で、基準期間中に特定受給資格者として離職した者が、全雇用保険被保険者数の6%を超えて、かつ4人以上いた場合。

・高年齢者雇用安定法に基づく勧告を受け、支給申請日までに是正がなされていない場合

・障害者総合支援法に基づく勧告や指定の取り消しなどが行われ、支給申請日までに是正されていない場合。

これらの条件に該当する場合、助成金の支給対象から外れるため、注意が必要です。事業主の皆様は、労働者の雇用状況や過去の解雇歴などをしっかりと確認し、助成金制度を正しく活用できるよう準備を進めましょう。

特定求職者雇用開発助成金の支給額や助成対象期間について

支給される金額や期間は、雇用する労働者のタイプや企業規模によって異なります。

1. 助成対象期間と支給対象期

まず、助成金が支給される助成対象期間についてです。これは、対象労働者を雇用した日から起算され、以下の期間が助成の対象となります。

賃金締切日がある場合:雇入れ日の直後の賃金締切日の翌日から助成対象期間が開始されます。

賃金締切日に雇用した場合:雇入れ日の翌日から開始します。

賃金締切日の翌日に雇用した場合:雇入れ日から助成対象期間が開始します。

この助成対象期間は6か月ごとに区分されており、これを「支給対象期」と呼びます。助成金は、この支給対象期ごとに最大2~6回支給されます。

2. 支給額

助成金の支給額は、対象労働者の類型や企業規模に応じて異なります。中小企業の場合、以下の表にまとめられた金額が1人あたり支給されます。

短時間労働者以外

① 一般労働者(身体・知的、重度障害者を除く)

支給額:60万円

助成対象期間:1年

支給額:30万円 × 2期(6か月ごと)

② 重度障害者等を除く身体・知的障害者

支給額:120万円

助成対象期間:2年

支給額:30万円 × 4期(6か月ごと)

③ 重度障害者等

支給額:240万円

助成対象期間:3年

支給額:40万円 × 6期(6か月ごと)

短時間労働者(週20~30時間未満の者)

① 一般短時間労働者

支給額:40万円

助成対象期間:1年

支給額:20万円 × 2期(6か月ごと)

②重度障害者を含む身体・知的・精神障害者

支給額:80万円

助成対象期間:2年

支給額:20万円 × 4期(6か月ごと)

3. 支給額の注意点

1期ごとの支給額は、支給対象期に対象労働者が行った労働に対して実際に支払われた賃金額を上限としています。つまり、短時間労働者であっても、支払われた賃金が助成額を下回る場合には、その額を超えて助成金は支給されません。そのため、実際の賃金支払額に注意しておくことが大切です。

受給手続きについて

助成金を受給するためには、支給対象期ごとに申請を行います。申請のタイミングは、各支給対象期の末日の翌日から起算して2か月以内、この期間を「支給申請期間」と呼びます。

たとえば、支給対象期が終了したら、翌日から2か月以内に申請を行わなければなりません。期限を過ぎると、原則としてその支給対象期に対する助成金の申請はできなくなります。

まとめ

特定求職者雇用開発助成金は、雇用に困難を抱えている人たちに新しいチャンスを提供するための助成金です。対象となる条件や注意点をしっかりと理解して、助成金を最大限に活用しましょう。

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