派遣社員を働かせられる期間とは?
派遣という働き方は、派遣元会社と派遣社員が雇用契約を結び、派遣社員が派遣先会社の指揮命令を受けて働くという形態です。
では、派遣社員はどのくらいの期間、同じ派遣先で働き続けることができるのでしょうか?
労働者派遣法の基本にあるのは「常用代替の防止」という考え方です。
もし企業が、派遣社員を期限なく使い続けられるとすれば、正社員を採用せず派遣社員だけで職場を運営しようとするおそれがあります。
派遣社員の方が人件費を抑えられ、雇用調整もしやすいためです。しかし、こうした状態が広がると、正社員の雇用機会が失われ、社会全体の雇用が不安定になります。
そこで、労働者派遣法では、同一の事業所で有期の派遣社員を受け入れられるのは、原則3年と定め、派遣先企業は同一の事業所で3年を超えて、派遣社員を使い続けることができないことと定められております(事業所単位の期間制限)。
※ただし、過半数労働組合または過半数代表者の意見を聞くなど、所定の手続きを行えば、別の派遣社員であれば派遣を受け続けることが認められます。
労働者派遣法では、この「事業所単位での期間制限」に加えて、さらに「個人単位での期間制限」も設けられております。
これは、雇用が不安定になりがちな有期の派遣社員について、一定の期間で区切りを設け、キャリア形成の機会を確保するための仕組みです。
同じ派遣社員を同一の組織単位(一般的には「課」など)で受け入れられる期間は3年までとされ、同じ部署で4年目以降も働き続けることはできません。
組織単位を変えれば、同一の事業所に引き続き、同一の派遣社員を派遣することも可能ですが、その場合は「事業所単位の期間制限」を超えて派遣が認められる手続きが行われていることが前提となります。
「事業所単位の期間制限」は、派遣先企業に勤める正社員を守るための3年であり、「個人単位での期間制限」は、有期派遣社員のキャリアアップを促すための3年です。
労働者派遣法では目的の異なる2つのルールを重ねることで、企業の雇用構造と派遣社員の将来の両方を守ろうとしています。
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