
今回は、キャリアアップ助成金の中でも「賃金規定等改定コース」について詳しく解説します。キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者(有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など)のキャリアアップを促進するために、企業が正社員化や処遇改善に取り組んだ際に支給される助成金です。
賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者の基本給を引き上げた場合に支給される助成金の一つです。では、どのような条件で受けられるのか、具体的に見ていきましょう。
賃金規定等改定コースとは?
このコースでは、有期雇用労働者の基本給を3%以上増額改定し、その改定を適用した場合に助成金が支給されます。賃金規定等を変更し、改定後の賃金を6か月分支払った後、一定の期間内に申請を行うことで受給できるのが特徴です。
申請のために必要なステップ(キャリアアップ計画書)
助成金を受け取るためには、まずキャリアアップ計画書の提出が必要です。これは、企業が今後のキャリアアップ施策について計画的に取り組むことを示す書類で、計画書は実施日の前日までに労働局へ提出しなければなりません。計画期間は3年以上5年以内で設定し、また「キャリアアップ管理者」を任命することや、全労働者の代表者から意見を聞くことが求められます。
支給額(中小企業の場合)
支給額は、賃金の引き上げ率に応じて変動します。
賃金引き上げ率3%~5%の場合:5万円/人
賃金引き上げ率5%以上の場合:6万5千円/人
また、職務評価の手法を用いて賃金規定等を増額改定した場合には、加算額として20万円が追加で支給されます。
賃金規定の具体例
賃金規定とは、就業規則や労働協約において定められたもので、賃金額やその構成を詳細に定めたものです。以下に例を挙げます。
就業規則:例「第○条(賃金)契約社員およびパートタイマーの賃金を○○のとおり定める…」
賃金規定:例「第○条(賃金)賃金は、基本給、時間外手当、通勤手当とする…」
賃金一覧表:等級別に1級:○○円、2級:○○円…といった形式で定められます。
申請までの流れ
有期雇用労働者等の基本給を時給、日給、月給に換算
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賃金規定を改定
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6か月分の改定後の賃金を支給
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支給日から2か月以内に申請
対象となる労働者と事業主
助成金の対象となる労働者には、基本給の増額改定日から6か月以上継続して雇用されていること、賃金が3%以上増加していることなど、いくつかの条件があります。
また、事業主についても、3%以上の賃金改定を行い、6か月以上継続してその規定を適用していることが求められます。
申請に当たって必要な書類
支給申請には、以下の書類を準備する必要があります。
・キャリアアップ助成金支給申請書
・賃金規定等改定コース内訳
・支給要件確認申立書
・支払方法・受取人住所届
加えて、以下の添付書類も必要です。
・労働局長の認定を受けた「キャリアアップ計画」の写し
・改定前後の就業規則や労働協約の写し
・対象労働者の雇用契約書や賃金台帳の写し
・出勤簿やタイムカードの写し
<職務評価を実施した場合>
・職務評価を実施したことがわかる書類(写)
・賃金規定等を改定したことがわかる書類
まとめ
キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、企業が非正規雇用労働者の待遇を改善するための有効な手段です。また、職務評価を行うことにより、適正かつ合理的な評価を行うことができるようになり、従業員のモチベーションや定着率の向上も期待できます。
助成金を最大限に活用し、従業員のキャリアアップを積極的に支援していきましょう。
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