R6年度 障害福祉サービス報酬改定 〜重度障害者の入院時コミュニケーション支援の充実〜

令和6年度の障害福祉サービス報酬改定において、重度障害者が入院した際のコミュニケーション支援に関する重要な見直しが行われました。これは、障害者の重度化や高齢化が進む中で、入院時に適切な支援を提供することを目的としています。今回の改定では、従来の制度をさらに拡充し、より多くの重度障害者が医療機関での支援を受けやすくなる仕組みが整備されました。

重度障害者の入院時におけるコミュニケーション支援の拡充

これまでは、重度訪問介護従業者(ヘルパー)が、重度障害者の入院中に病院職員とのコミュニケーションをサポートする仕組みは、障害支援区分6に限定されていました。しかし、実際の現場では、障害支援区分6以外の障害者も、入院中にコミュニケーション支援が必要であることがわかっています。

このため、今回の改定では、区分4および区分5の重度障害者も新たにこの支援の対象となりました。

入院前の連携調整に対する評価の新設

さらに、重度訪問介護利用者が入院する際には、医療機関との事前調整が重要です。これまでは、重度訪問介護事業所が行うこのような事前調整に対する十分な評価がされていませんでした。

そこで、今回の改定では、医療機関との事前調整を行った場合に報酬を新たに加算する仕組みが導入されました。この「入院時支援連携加算」により、事前の綿密な連携調整が評価されることとなり、よりスムーズな入院支援が期待されます。

改定の具体的な内容

1. 入院中の重度訪問介護利用の対象拡大

これまでは、障害支援区分6の利用者に限定されていた入院中のコミュニケーション支援が、今回の改定により区分4および5の利用者にも対象が広がりました。これにより、より多くの重度障害者が、入院時に適切な支援を受けられるようになります。

2. 入院前の医療機関との事前調整に対する評価

重度障害者が入院する際、重度訪問介護事業所の職員と医療機関の職員が連携して事前調整を行った場合に、300単位/回の報酬が加算されます。この「入院時支援連携加算」により、入院前からのスムーズな準備が進められるようになります。

事前調整の具体的内容

障害者の基本情報や障害特性、入院中の生活希望などを医療機関に伝える

医療機関の入院規則や感染対策についての情報共有

看護師と重度訪問介護従業者の役割分担やコミュニケーション支援の範囲の確認

病室の環境調整や介護体制の整備

今回の改定による期待

この報酬改定により、障害支援区分4以上の重度障害者が入院する際に、適切な医療と支援を受けやすくなります。また、医療機関と障害福祉サービスが密接に連携することで、入院中の生活環境が改善され、障害者本人やその家族にとっても安心できる支援体制が整うことが期待されています。

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