
今回は、R6年度の障害福祉サービス報酬改定のうち、医療的ケア児や重症心身障害児に対する支援の評価に関する見直しが行われています。それでは、詳細を見ていきましょう。
8. 認定特定行為業務従事者による支援の評価見直し(医療連携体制加算Ⅶの見直し)【児童発達支援、放課後等デイサービス】
医療的ケア児への支援促進を図るため、認定特定行為業務従事者(一部の医療行為が可能な介護職員)の支援を評価する「医療連携体制加算(Ⅶ)」が見直されました。特に、重症心身障害児を支援する事業所でも算定できるように変更されました。
現行では100単位/日でしたが、見直し後は250単位/日に引き上げられています。※医療的ケア区分の基本報酬を算定している場合には、この加算は適用されない点は引き続き維持されています。
9. 重症心身障害児を通わせる事業所の評価見直し【児童発達支援、放課後等デイサービス】
重症心身障害児への支援を充実させるため、主に重症心身障害児が利用する事業所における基本報酬の区分設定が見直されました。これまで1人単位での区分設定でしたが、今後は3人単位に変更されます。
10. 医療的ケア児に対する入浴支援の評価【児童発達支援】
医療的ケア児や重症心身障害児に対する入浴支援が評価されることになりました。発達支援と合わせて入浴支援を行った場合に、新たな加算を算定できるようになります。
入浴支援加算(新設)
55単位/回(月8回まで)
11. 医療的ケア児に対する送迎支援の見直し【児童発達支援、放課後等デイサービス】
医療的ケア児や重症心身障害児の送迎支援についても評価が見直されました。特に、医療的ケアスコアに応じた細かい評価が導入され、より適切な支援体制が求められます。
[現 行]
<児童発達支援センター、主として重症心身障害児を支援する事業所以外の場合>
送迎加算
障害児 54単位/回
医療的ケア児 +37単位/回
(※)医療的ケア区分による基本報酬を算定する事業所のみ。看護職員の付き添いが必要。
↓
[見直し後]
<児童発達支援センター、主として重症心身障害児を支援する事業所以外の場合>
送迎加算
障害児 54単位/回
重症心身障害児 +40単位/回
医療的ケア児(スコア16点以上) +80単位/回
医療的ケア児(その他の場合) +40単位/回
(※)医療的ケア区分による基本報酬以外の事業所でも算定可。
12. 共生型サービスにおける医療的ケア児への支援の評価【児童発達支援、放課後等デイサービス】
医療的ケア児の受け入れをさらに促進するため、共生型サービスにおいて医療的ケア児への支援を行った場合の評価が新設されました。特に、看護職員等を1人以上配置して、地域に貢献する活動を行っている事業所が対象となります。
共生型サービス医療的ケア児支援加算(新設)
400単位/日
※認定特定行為業務従事者を含む看護職員等を配置し、地域に貢献する活動を行っている事業所で医療的ケア児を支援した場合に適用されます。
13. 強度行動障害児支援加算の見直し【児童発達支援】
強度行動障害を持つ子どもへの支援を強化するため、強度行動障害児支援加算の評価が見直されました。支援スキルを持つ職員の配置や支援計画の策定が必要となります。
≪強度行動障害児支援加算の見直し≫
現行:155単位/日
(強度行動障害支援者養成研修を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児に対して支援を行った場合)
↓
見直し後:200単位/日
加算開始から90日以内の期間にはさらに+500単位/日が加算されます。支援者養成研修(実践研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児に対して支援計画に基づいた支援を行う必要があります。
14. 重度障害児への支援の充実(個別サポート加算Ⅰの見直し)【児童発達支援】
重度障害児への支援を強化するため、個別サポート加算(Ⅰ)の評価が見直され、著しく重度の障害児が利用した場合に評価が加わります。
≪個別サポート加算(Ⅰ)の見直し≫
現行:100単位/日
(著しく重度または行動に課題のある障害児に対して支援を行った場合)
↓
見直し後:120単位/日
重症心身障害児など、著しく重度の障害児に対して支援を行った場合に適用されます。
15. 要支援・要保護児童への支援の充実(個別サポート加算Ⅱの見直し)【児童発達支援、放課後等デイサービス】
要支援児童や要保護児童に対する支援も充実されました。児童相談所やこども家庭センターとの連携を強化し、支援状況をより頻繁に共有することが求められます。
≪個別サポート加算(Ⅱ)の見直し≫
現行:125単位/日
(児童相談所等と連携し、支援の状況を年1回以上共有すること)
↓
見直し後:150単位/日
(こども家庭センターなどとの連携を強化し、支援の状況を6ヶ月に1回以上共有すること)
16. 難聴児への支援の充実【児童発達支援、放課後等デイサービス】
難聴児に対する支援も強化され、特に人工内耳を装用している子どもに対する支援が評価されます。
≪人工内耳装用児支援加算の見直し≫
現行:445〜603単位/日
(児童発達支援センターにおいて、人工内耳を装用している児に対して支援を行った場合)
↓
見直し後
① 人工内耳装用児支援加算(Ⅰ):445〜603単位/日
(児童発達支援センター(聴力検査室を設置)において、医療機関との連携の下、言語聴覚士を配置し、専門的な支援を行った場合)
② 人工内耳装用児支援加算(Ⅱ):150単位/日
(童発達支援センター又は児童発達支援事業所において、医療機関との連携の下、言語聴覚士を配置し、専門的な支援を行った場合)
17. 視覚障害児・聴覚障害児等への支援の充実【児童発達支援、放課後等デイサービス】
視覚障害や重度の聴覚障害を持つ子どもに対して、意思疎通に関する専門性を持つ人材を配置した場合の評価が新設されました。
視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算(新設)
100単位/日
※意思疎通に関して専門性を有する人材を配置し、視覚障害または聴覚・言語機能に重度の障害がある子どもに対して支援を行った場合に適用されます。
まとめ
今回の改定では、重度の障害のある子どもたちの多様なニーズに応じた支援をよりきめ細やかに行うための仕組みが強化されています。それぞれの事業所での対応が今後ますます重要になっていきます。
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